オオコウモリの生態と特徴

実物のオオコウモリを見たことがある人はあまりいないのではないでしょうか。実際にオオコウモリは動物園以外では小笠原諸島や南西諸島にしか生息せず、絶滅寸前のコウモリでもあります。

日本にいるオオコウモリについて

日本にいるオオコウモリとは

オオコウモリは翼手目オオコウモリ科に属するコウモリの仲間です。その見た目から英名をFlyingFox(空飛ぶキツネ)、あるいは食性からFruitsBat(果実を食べるコウモリ)とも呼ばれます。翼を広げると約1mあります。
日本に住むオオコウモリは、南西諸島に分布するクビワオオコウモリと、小笠原諸島に分布するオガサワラオオコウモリの二種類のみです。オキナワオオコウモリという種類もかつてはいましたが1870年に新種として発表されて以来捕まったことがないので絶滅したと考えられています。

オオコウモリの減少

開発による森林減少、食物の減少やノネコにより捕食されるなどの理由から生息数の減少が懸念されています。植物を食することから農作被害も多く、またオオコウモリ観光ツアーの利用客が私有地に入ってトラブルが起きるなど、オオコウモリ類に関するトラブルも多く報告されます。

オガサワラオオコウモリ

小笠原諸島のみに生息し、1969年に国の天然記念物に指定され、絶滅危惧種として保護されています。体色はほぼ暗褐色で、ごく少量の白銀や金色の毛が混じります。体長は大きい個体で25cm、600gほどです。外敵に対する警戒心が低く、外来の地上捕食者に対して無防備な面があります。

クビワオオコウモリ

日本の南西諸島と台湾に生息するオオコウモリで、島ごとにいくつかの亜種に分かれています。体長19~25センチ、体重300~500グラムほどの大きさです。体毛は長く、暗褐色で頸部に首輪状の淡色斑が入ります。

小型のコウモリとの違い

小型のコウモリとの特徴の違い

世界の大型のコウモリには翼を広げると2m近くに達する種類もあります。そのため小型コウモリのようにバタバタ飛ぶのではなく、バサーバサーという中型以上の鳥のような飛び方をします。小型のコウモリはエコロケーションによりエサや仲間の位置を確認しながら飛行するため、目が小さく耳が発達しているタイプのものが多いです。反してオオコウモリは視覚と嗅覚に頼って餌場を探して飛行するため、目が大きく耳が小さいという一般的な哺乳類に近い顔立ちです。人間にも聞こえる声をよく出し、二頭が接近すると翼ではたき合いながら騒ぎます。その騒ぎ声はさながら猿の群れが興奮しているかのようで、何頭もいると騒がしくなります。

小型のコウモリとの生態の違い

小型のコウモリは世界中に分布しますが、大型のコウモリは熱帯や亜熱帯など暖かい場所を好みます。一般的に小型のコウモリは洞窟や樹洞をねぐらにして休息しますが、オオコウモリ類は林内の樹木にぶら下がって過ごします。小型のコウモリが夜行性で日没後に採餌を始めることが多いのに対し、大型のコウモリは夕方のまだ明るいうちから活動を始めます。

また小型コウモリは昆虫を主食とするものが大半ですが、オオコウモリ類はドラキュラのようなその見た目に反して果実や花蜜、葉など植物質を主食としています。

オオコウモリに受粉を頼る植物もあるほどで、そのような植物は花や果実から強い匂いを放ってオオコウモリをおびき寄せます。果実を飲み込みよく噛んでジュースだけ飲み、残ったカスは吐き捨てます。そのため糞も液状です。

まとめ

オオコウモリについてまとめてみました。
動物園以外ではなかなか気軽に会いに行ける距離にはいませんが、そのカワイイ姿は実物で見てみたいものですね。オオコウモリの生息する希少な環境を守る意識が求められます。