ウサギコウモリの生態・特徴

世界には変わった動物がたくさんいますが、コウモリ界にも変わった耳の形をした不思議なコウモリがいます。その姿はまるで…?
今回は「ウサギ?コウモリ?どっちなの?ウサギコウモリ」についてまとめてみました。

大きな耳が特徴!ウサギコウモリとは?

ウサギコウモリの特徴

ウサギコウモリは翼手目ヒナコウモリ科に属するコウモリの仲間です。頭胴長4.2~5.8cm、前腕長3.5~4.5cm、体重5~13gの大きさのコウモリです。その名の通り、ウサギのような長い耳を持つことからこの和名がつきました。コウモリの仲間の中でも耳が長い種類のコウモリはこのウサギコウモリ一種類のみであり、他のコウモリと容易に区別することができます。耳介は卵型で長さ4cm前後と体長とほぼ同じ長さです。冬眠中は長い耳を腕の下に畳み込んでしまいます。

口先はやや長く突出しており、鼻孔は外側に突出しています。体毛は背中側が淡褐色で、腹側は灰褐色をしています。翼は幅広くて短いためか、他のコウモリと比べると遅いスピードで飛びます。

ウサギコウモリの生態

食虫性でガ、ガガンボ、甲虫類などを食べますが、特にガを好んで食べます。夜行性で日没後にねぐらを離れ、森林内の樹間を緩やかに飛び回り、夜間に活動する昆虫を捕食します。捕えた昆虫は休息所に運び、骨を取り去ってから食べます。秋に交尾をし、冬には冬眠に入ります。翌年の6~7月に出産をし、一頭につき1頭の子コウモリを産みます。個体間により初産の年齢が違いますが、これは栄養状態の違いによる可能性があることが示唆されています。

ウサギコウモリのコロニー

ウサギコウモリは出産・哺育コロニーを形成しますが、10~30頭程度と他のコウモリと比べると比較的小規模のコロニーを形成します。そして出生したコロニーに比較的高い確率で忠実に帰還し、安定したメンバー構成で出産・哺育コロニーを形成するということがわかっています。これによりコロニー内で情報交換を円滑にすることができ、群れで採餌することで採餌成功率を上げていると考えられています。
コロニーには雄が混じることもあり、緯度が高ければ高いほど雄の割合が高くなることがわかっています。これは低温になると採餌場所が限られるため、雄が雌と同じコロニーを共有するためだと考えられています。

ウサギコウモリはどこで見られるの?

ウサギコウモリはどこにいる?

ウサギコウモリは温帯に棲息し、ヨーロッパ、モンゴル、中国東北部、インド北部などユーラシア大陸に広く分布しています。日本においては北海道、中国地方を除く本州、四国に分布しています。山地帯の樹林に生息します。

森林、洞窟、樹洞、家屋、トンネルなどをねぐらとし、数頭の集団でコロニーを形成します。家屋や地下室などの建造物やバッドボックスなどでの確認例が多く、他のコウモリよりも人口建造物を好んで利用します。とはいえ、樹洞以外にもねぐらを形成するものの、神経質なため些細な変化にも敏感に反応してしまいます。

ウサギコウモリの減少

現在分布域の一部で生育環境が悪化しており、種の存続への圧迫が認められています。繁殖・冬眠の場である樹洞のある樹林が、森林伐採などにより減少していることがその一因であるとみられています。また人口環境に依存した場合、糞尿被害や寄生虫など衛生面で人間との軋轢が生じ、排除されることが危惧されます。

まとめ

ウサギコウモリについてまとめてみました。
まるでウサギのような見た目をした可愛いコウモリですが、その生息数は減少しつつあります。自然を守ってコウモリにとって繁殖しやすい環境を作ることにより、気軽にウサギのようなコウモリに会えるようになったら嬉しいですね。